電気製品に関する深い経験が、作業者の安全を向上

Engineer in uniform and helmet on of background the Construction Site power plant.競争力と収益性を維持するために、メーカー各社は生産効率を常に維持向上させる必要があります。生産能力の強化やサプライチェーンの状況改善のために、装置や機械を追加する企業もあれば、工程を手作業から自動化することで省力化を図る企業もあります。ただ、メーカーがどのような変更を行うにしても、その変更は作業者の安全をないがしろにするものであってはなりません。

工場や屋外の作業現場で特に配慮しなければならないのは、電気的安全性です。過酷な使用条件や水の飛散その他各種環境条件にさらされることは、電気機器の摩耗や損傷の原因となり、これにより短絡、さらには感電事故が発生することもあります。例えばアメリカ労働安全衛生局 (OSHA)は、建設作業で最も多い事故は感電事故であるとしています。

産業革命が始まって以来進化を続ける工業労働環境において、電気機器に最優先で求められるのは高い安全性と信頼性であることに変わりはありません。メーカーが将来に向けて新たな領域を切り開いていくには、労働者の安全を守る電気機器や照明機器がこれまでどのように発展したかを振り返ることが役に立つのではないでしょうか。

産業革命以来の、より安全性の高い製品の先駆者となる

この最初の産業革命期、工場その他の作業現場の環境は、当然ながら今日のそれよりも遥かに危険なものでした。アメリカ労働省労働統計局 の発表によると、1913年の労働災害による死者数は23,000人、労働者10万人あたりに換算すると61人でした。これに対し、アメリカ合衆国内の2010年の労災死者数は労働者10万人あたりで3.1人となっています。労働者の安全の向上は、各種法規や安全手順の整備により実現したものですが、労働者の安全の確保に貢献する革新的製品が開発されたこともまた、安全の向上に大きく貢献しています。

Woodhead Industries Inc. (Woodheadは現在、モレックスがインダストリアル用の電気製品ファミリーとして提供) の創業者であるDaniel Woodhead (ダニエル・ウッドヘッド) も、労働者の安全を改善するべく製品の革新を進めた1人です。Daniel Woodheadは1920年代、鉄道業界の労働者と対面し、鉄道建設現場で使用している可搬式の照明設備の危険性について知りました。当時の照明機器には、過酷な使用条件や水漏れのほか、ハンドランプの握り部分が壊れやすい木製である等の問題がありました。木製グリップが裂けて尖った部分に照明の電線がこすれて切断すると、そこから感電する危険性があったのです。
このような潜在危険を知ったDaniel Woodheadは、ゴム製ハンドルのハンドランプの販売を開始しました。ゴムは木材よりも耐久性が高く、欠けたグリップに引っかかること等によって電線が切断されるリスクは大幅に低減されました。ランプ全体の耐久性が向上したことは、電源に接触する危険の低減に役立ちました。
この革新的なラバーグリップ付き照明器具の発売をきっかけとして、Woodhead製の可搬式および仮設照明ソリューションは広く使用されるようになりました。Woodhead Industries Inc.は最終的に、プラグ、コネクター、配電ボックス、漏電遮断器 (GFCI)、その他特徴ある電気機器や部品をポートフォリオに追加してきました。
このブランドのすべての製品は、ユーザーのニーズと作業者の安全性を最優先して設計されています。

100年も続く革新性

20世紀も後半から末期へと進むにつれ、アメリカ合衆国全体で新たな設備機器の導入が進み、工場等の作業現場で使用される電力量も増加しました。加えて、より危険の少ない労働条件の実現に尽力した政府組織や労働者の団体、雇用主、科学者、個人等の力によって、職場の安全環境も大幅に改善しました。アメリカ労働省労働統計局の記事で引用された、The Life of American Workers in 1915 (1915年のアメリカの労働者の生活) と題されたデータを見ても、当時から現在にいたるまでにいかに労働環境が進歩したかわかります。1933年までのアメリカ合衆国内の労災による死亡事故は労働者10万人あたり37人だったものが、1950年までには同人口あたり9.3人にまで減っています。

その後、数十年間にわたり減少傾向にあった労災数は1960年代に再度上昇し始めますが、これは、全米労災保険協議会の研究結果の概要によれば、経済の急速な拡大によって労働者人口がそれまでとは比較できないレベルにまで膨れ上がったことが原因とされています。労災数の急増に対する人々の反発を受けて1972年に設立されたのが、OSHAです。この時期、Woodhead Industries Inc.においても、労働者の立場に沿ったより安全な革新的製品の開発による、より安全な工業労働環境作りに力を注ぎました。1960年代にWoodheadが実施した顧客アンケートによると、製品の使用者が作業現場で最も識別しやすい色は、黄色であることがわかりました。Woodheadはこのアンケート結果を受けて、電源コードやポータブル電源その他で、機器の通電部分を見分けやすいよう安全喚起のために黄色を使用した製品を設計したのです。

Woodheadが1970年代に設計した革新的な配線用デバイス、Watertite Wet-Locationは、現在も広く販売されていますが、これも作業者の安全に配慮した重要な製品群の一つです。Watertite配線用製品は、最先端のゴム製封止材を採用したゴム製ハウジングが特徴で、これによりプラスチック材を使用した類似品よりも大幅な製品の長寿命化と高い信頼性を実現しています。優れた耐久性能は短絡の防止にも貢献し、製品損傷時の感電事故の発生率を低減します。

Woodheadは、現状の製品ラインを上回る専門知識や価値を付加する必要性も認識し、電気配線および電気機器の設置に関わる規格の策定組織であるNational Electrical Code (NEC、米国電気工事規定) の委員に加わるよう社員を強くうながし、安全性にさらに力を入れることにしました。さらに、ポータブル電源と照明の安全使用に関するセミナーを、顧客先企業で毎年定期的に実施しています。

MolexのWoodhead製品は、安全な携帯用電源が必要な造船所や石油やガスの貯蔵施設、飲食料品の加工工場、自動車生産工場といった産業用環境で、ごく一般的に使用されるようになりました。モレックスのWoodhead Watertite製品ラインの性能は、高圧、浸漬、摩耗、薬品、温度といった条件への耐久性に関して、他社競合品と比較しても群を抜いた卓越した性能を誇っています。

将来にわたり、作業者の安全を守る製品づくり

新型コロナの感染拡大予防措置が世界的に解除される方向となり、職場への社員の復帰が進むなかで、経験豊富な社員の維持や職場安全が各メーカーの経営陣の主な検討課題となっています。長年の経験と知見を蓄えたモレックスのエンジニアは、実績あるWoodhead製品ポートフォリオを見直し、作業者の安全を守る新たな高品質、高性能の産業用ソリューションを開発することで、引き続き顧客の要望に応えています。

電気関係の怪我や死亡事故といった労災の原因の一つが、機械装置の立ち上げ時その他の状況下での通電箇所への接触から作業者を保護することを規定した、OSHAのロックアウト/タグアウト (LO/TO) 規則への違反です。この規制等を含むその他の各種規制に対応するため、モレックスは最近、使用手順が最もシンプル、かつ過去最短時間で産業用機械の電源を遮断して、OSHA安全規格に準拠したLO/TO安全手順を実行することができる、スイッチ規格のWoodheadArcArrestコネクター製品群を発売しました。

モレックスでは近日中に、市場初のIP69K防水等級準拠製品である、Woodhead漏電遮断器 (GFCI) の発売も予定しています。この新製品は、既存のGFCI製品ファミリーに追加されるもので、食品加工工場等で衛生管理を目的に日常的に使用される、高圧洗浄水の噴霧に耐える製品です。この製品は極めて高圧な洗浄水の噴霧を受けた場合でも漏電遮断器への水分の進入から装置内部を保護し、ショートや怪我の危険を防止します。

100年もの長きにわたり愛用され高く評価されてきたWoodhead製品は、モレックスが誇る製品ブランドです。モレックスでは今後も、Woodhead製品に最新の各種アプリケーションやエンドユーザーのニーズに合った設計および素材を採用し、厳しさの増す現場環境においても作業者の安全を守り続ける手段を研究し続けていきます。Creating Connections for Life ― モレックスのWoodhead製品を今後ともよろしくお願いいたします。 

Molex Electrical and Power Solutions Director