スマート家電がどの様に普及していくか

Wi-Fiカメラを搭載したオーブンから衣類の素材を認識する洗濯機に至るまで、メーカーは消費者にやさしい製品を次々と設計しています。これらの特長を活かして買い手を呼び込むだけでなく、安全性・効率性を向上させつつ、厳しいエネルギー規制への対応を支援するために、デザインの強化が図られています。

センサーの普及

スマートフォンやタブレット端末で一日を過ごす消費者は、操作性が快適でコントロールを備えた、スマートなデザインを求めています。また、Wi-FiやBluetoothの統合をシームレスに行い、調理や洗濯の進捗状況を見て、リモートでコントールが出来ればという期待ももっています。

当初は、ハイエンドでスマートなセンサー機能のために設計されたものですが、ミッドレンジモデルへの広がりも見せ始めています。これにより、ユーザーの利便性が向上し、コントロールが向上しました。次に幾つかの事例を紹介します。

洗濯機、乾燥機、食器洗い乾燥機 – センサーは、適量の水と洗剤を投入するために、洗濯機に入れた衣類の容量を把握し、洗剤および柔軟剤を適切な量だけ自動注入します。モデルによっては、衣類の種類や汚れの状態を感知し、水位、温度、サイクルタイムを調整して、より効果的かつ衣類に優しいモードに最適化することができます。あるいは、消費者は「メモリウォッシュ」機能を選択して、通常使用する条件に設定を固定することもできます。

乾燥機は、容量の度合いと湿度を測定し、十分に衣類が適切に乾燥されているときは、遅滞なく乾燥を終了します。スマートフォンアプリでは、乾燥終了までの時間が表示され、音声コマンドで設定を変更できるものもあります。

食洗機は、食器がきれいになっているかどうかを微粒子の大きさを測定することで感知します。また、洗浄中に皿またはカップなどが回転するスプレーアームを塞いでいるかどうかを感知してユーザに知らせる機能も有しています。

冷蔵庫 – 冷蔵庫は常に室内の温度を監視してきましたが、新しいモデルでは複数のセンサーを使用して、異なるゾーンに範囲を設定しています。センサーもずっと賢くなってきているのです。例えば、牛乳パックをスマートマット上に置くと、センサーが残量を感知してスマートフォンアプリを介してユーザーにメッセージを送ります。他のモデルでは、カメラを使って冷蔵庫内の牛乳の量を「見る」ことができ、顧客が買い物中に何を買うべきかの再確認がリモートで可能になります。

一部のモデルは野菜や果物が排出するガスを感知し、鮮度や消費期限を知らせる機能もついています。

オーブン、コンロ、電子レンジ – 現在のオーブンのいくつかは、調理温度のモニタリングに加えて、ロースト状態や鍋の重さや密度を感知し、それに応じて調理時間を設定する機能を有しています。一部のモデルでは、魚、鶏肉、ローストビーフの設定を自動的に調整し、50種類までの食品を識別することができます。また、調理用ピザ、焙煎、揚げ物、焼き物、トースト、脱水、発酵、加温用のプリセットの機能まで網羅している製品もあります。
電子レンジでは、バーコードスキャナーがパッケージに表記の情報にアクセスし、調理時間を自動調整することができます。

一部のオーブンでは、食べ物から出てくる蒸気の量と温度をセンサーで測定し、最適な調理の自動設定がされるものもあります。

どのオーブンもわずかに異なりますが、新しいセンサーに富んだモデルでは、クッキーを焼いたり、七面鳥を焼いたりするのに最適な設定を決定するために時間をかけてデータを分析します。

l.オーブンWi-Fiカメラは、こんがり焼けたローストや膨らんだケーキをスマートフォンアプリで表示することができます。また、オーブンの扉が開いたままになっていたり、バーナーで鍋が過熱して危険な空焚きが発生した場合、アプリで警告を送るなど、安全性を高めることも可能です。

センサーがキッチンやランドリーの体験を向上させ、消費者の成果を高める可能性は限りなくあります。

メーカーの新たな検討材料

消費者にとって、スマート家電は、モノのインターネット(IoT)と相互接続が進むテクノロジーの世界の自然な進化の一部です。しかし、メーカーはこの進化が決して自然なものではないことを知っています。より小さなセンサーを狭いスペースに設置し、確実に動作するために十分な電力と信号強度を確保することは簡単なことではありません。エンジニアは、何年も、あるいは何十年も使ってきた構成を見直し、新しい素材を使い、マイクロエレクトロニクスやコネクターの専門家と相談しながら、将来的にさらにセンシング機能を追加できるような設計にしなければなりません。

新しいトレンドに対応し、適切なパートナーと協力することで、メーカーはスマートテクノロジーに関する専門知識を身につけ、魅力的な機能を創造し、より早く市場に投入することができます。 スマート家電は通常、エネルギー効率が高いため、光熱費の上昇を懸念する消費者にもアピールすることができます。

米国、カナダ、欧州の政府は、家電製品のエネルギー消費量や、素材、リサイクル能力に対する監視を強化しています。適切な専門知識を持つメーカーは、こうした配慮をスマート製品の設計に取り入れることで、今後の規制を見越した未来志向の製品づくりを行うことができます。

スマート家電と安全性

消費者と当局にとって、もう一つの重要な焦点は安全性です。USA Todayによると、過去10年間に消費者製品安全委員会に提出された苦情の40%以上が家電製品に関連しています。より多くのセンサーや電子機器が家電に追加され、より高いワット数の調理器具がより多くの電力と接続を必要とするようになると、配線の欠陥やその他のエラーが発生する可能性が高くなります。

規制当局は現在、業界の専門家で構成される委員会と協力して、スマートホーム時代の規則や試験規格の改訂に取り組んでおり、熱や火に対する耐性を向上させることを主な目的としています。

最近のコネクタ技術の革新は、電子接点のより確実な接続を可能にし、消費者だけでなく、狭いスペースで無数の繊細なセンサーワイヤーを手作業で接続しなければならない組立作業者にとっても、家電製品の安全性と信頼性を向上させています。最新のエレクトロニクス技術を活用することで、職場の人間工学と安全性を向上させ、より迅速でミスのない生産を実現することができるのです。

新世代の製品づくり

メーカーにとって、スマート家電のフロンティアは、消費者とつながり、彼らがいつも望んでいた、しかし夢にも思わなかったカスタマイズされた機能やコントロールを提供する実質的に無限の機会を提供しています。ブランドは、スマートホームの普及に伴い、スマート照明、HVACシステム、スマート給湯器などのプロバイダーと相互に有益な提携を結び、新たな方法で差別化を図るチャンスに恵まれています。

しかし、そのためには、メーカーは、センサー、コネクター、マイクロプロセッサーを設計の一部として安全に配備するための専門知識を進歩させ続けなければなりません。モレックスは、コネクターとユーザーインターフェースの設計プロセスの早い段階でエンジニアと協力し、最新のエレクトロニクスの革新と材料を取り入れ、最高の業界標準に準拠し、世界中の規制当局の要件を満たすようにすることで支援できます。

安全で信頼性の高い最先端のスマート製品の設計と構築について詳しくは、家電製品の設計における主要トレンドに関する最新のホワイトペーパーをお読みください。latest white paper on key trends in appliance design

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