AECケーブルソリューションの準備が整っているかどうかを判断する4つの視点

新しいデータセンターの建設や既存のデータセンターの再設計や再構成を行う際には、機器やサーバーの配置、熱性能について考慮することが最も重要です。同様に重要なのは、アップラインとダウンラインの運用と性能にさまざまな影響を及ぼす可能性のあるケーブルのオプションです。ケーブルの種類を変えるだけで、データ品質の向上、設置の容易化、温度条件の緩和が可能になります。しかし、どのケーブルがいつ、最も適しているかを理解することは、効率的で拡張性のある信頼性の高いデータセンターのアップグレード(または構築)方法を決定するための最初のステップとなります。

クラウドアプリケーションの普及に伴い、データセンターへの依存度はますます高まっており、様々な関わりがあるため一貫性のある信頼性の高いサービスは重要な課題となっています。昨今、その重要な課題においてデータセンターではアクティブ・エレクトリック・ケーブル (AEC) が注目されています。AECは、直付け銅線(DAC)ケーブルと光ファイバーケーブルの中間的な存在です。AECは、最大7.0mのクリーンな信号を提供するように設計されており、DACよりも小さいため、冷却に必要な設置面積が小さくなり、設置が容易になります。費用面から帯域幅まで、AECは機器を交換せずにアップグレードが必要な最新データセンターのためのケーブルオプションを提供し、管理者は最小限の調整でサーバーラックを追加したり、データセンターの総規模を拡大したりすることができるようになります。

しかしながら、DAC は今日のデータセンターでは今もなお、重要な役割を果たし続けています。チャネルの長さ、損失バジェット、消費電力を最小化する手段に関する質問は重要であり、その答えは各企業に固有のものでしょう。最終的なケーブル配線を決定する要因は非常に多く、データセンターのオプションを調査する際に何を知る必要があるのでしょうか。

パッシブケーブル、リニアアンプもしくはリタイマ?

DACなどのパッシブケーブルは、電子部品を最小限に抑え、消費電力も少なく、コスト面でも有利です。また、低遅延であることは、リアルタイムでデータにアクセスすることが求められる現代において、ますます重要な機能です。しかし、112Gbps PAM-4(パルス振幅変調技術の一種)で800Gbps/ポートの環境でより長い距離を使用する場合、パッシブケーブルはデータ損失の問題があり、従来の2メートル以上の56Gbps PAM-4到達は不可能でした。

アクティブな電子部品を含むもう一つのタイプのケーブル、アクティブ・カッパー・ケーブル(ACC)は、リタイマではなく、リニアアンプを提供します。リタイマはケーブル内のノイズを除去・低減しますが、リニアアンプはそうではありません。つまり、信号を再調整するのではなく、信号を増幅するだけであり、そうすることでノイズも増幅してしまうのです。リニアアンプは低コストのオプションですが、リタイマははるかにクリーンなシグナルを提供します。どちらを採用するかは、用途、要求性能、予算によって異なります。 

また、リタイマはプラグアンドプレイのシナリオで成功する可能性が高くなります。例えば、トップ・オブ・ラック(TOR)スイッチとそれに接続されるサーバーが異なるベンダーのものである場合、リニアアンプ付きケーブルでは、許容できるシグナルインテグリティ性能を維持することが困難な場合があります。データセンターの管理者が、各機器を同じベンダーから調達したり、既存の機器を交換して、上から下まで単一ベンダーのソリューションを構築することに関心を持つとは思えません。その代わり、ほとんどのデータセンターでは、さまざまなベンダーの機器を組み合わせて使用しているため、チャネルが保証された既存のインフラに新しいサーバーを「プラグアンドプレイ」して成功させるには、リタイマを使用する可能性が高くなります。この場合、リタイマは大幅なコスト削減にもなります。

112G PAM-4-DAC もしくは AECにおけるチャネル長さは? ? 

コストと電力が最も顕著な問題であり、DACが112Gbps PAM-4、800Gbps/ポートのチャネルの長さをサービスするデータセンターでは、パッシブDACが正しいソリューションであるかもしれません。しかし、2.0mを超える長さのチャネルでは、パッシブDACは機能しないかもしれません。

一方、AECは最大30dBの拡張ロスバジェット (s損失量の許容値。) を提供し、リタイマーはボックス間 (例:スイッチからサーバー) の最大7.0mまでの長さで優れたシグナルインテグリティを提供します。したがって、AECは光ファイバーよりも低コストで1.5/2.0m以上の長さに有効な選択肢を提供します。

DACとAECは熱の問題にどう影響するか??

AECとDACは様々な状況に対して異なるソリューションを提供しますが、費用面の制約が常に最大の決定要因の一つです。費用の大きな課題の1つは、消費電力とその結果生じるシステムの冷却に必要な放熱です。

DACはパッシブであるため、最小限の電力しか使用せず、データセンターで発生する熱を大幅に増加させることはありません。AECは電子部品で構成されているため、より電力を消費することになります。しかし、AECはDACよりも長いものの、直径が小さく、導体も34AWGと小さいという特徴があります。ケーブルの質量が少ないということは、インピーダンスが低いということであり、空気の流れが良くなり、熱問題を緩和することができます。これらはすべて、特定のアプリケーションをサポートするために、どのケーブルを導入するのが最適かを決定するための重要な検討事項です。

ケーブルの最適化は?

ケーブル配線管やトレイには、サーバーを接続する25~50本の大きなケーブル束が入ることが多く、比較的太いDACケーブルを主に使用するため、管理が難しく、スペースに大きな制約が生じます。

AECは損失とタイミングをリセットすることができるため、より小さなケーブル束で効率的に信号を伝送することができます。その結果、AECはDACに比べて軽量で曲げ半径が小さいため、配線が容易となり、ケーブル管理が容易になります。 

AECとDACの比較一覧

データセンターが最適化された効率と速度でデータ需要に対応するためには、AECとDACの両方のアセンブリが不可欠です。データセンター管理者は、AECとDACの独自の機能を明確に理解することで、それぞれの固有の状況や要件に最適なオプションを決定することができます。

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