スマートテクノロジーは、世界規模で食料供給のあり方を変えようとしています。世界人口の増加と環境の変化が生み出す課題に拍車がかかり、農業分野では生産性を高める新しいソリューションの導入がいち早く進んでいることを意味します。本稿では、農業・農産業におけるスマートテクノロジーの展開とその影響について、様々な角度から考察していきます。 “スマート農業の未来とRF技術の役割 ”では、スマート農業が社会に与える影響と、機械間通信においてRFが果たし続ける役割について考察していますが、今回はそれに続くものです。  

人工知能を活用し、農作現場から得られる作物の種蒔き・収穫データを収集・分析する。

スマート農業は、最新トレンドのマシンツーマシン通信を利用して、固定センサーや従来の農業機械など、あらゆる要素をネットワークにつなぎ、データを収集・共有するものです。  最新の5G通信技術を活用したスマート農業は、接続されたデータを使って農場環境の全体像を把握し、農家が利用可能な資源を最大限に活用して最大の収穫量を確保することを可能にします。 

これらの無線通信システムは、RF伝送技術と最新のエッジコンピューティングの開発により、スマート農業を現実のものとします。しかし、最新技術を農業に取り入れるには、解決しなければならない課題があります。

実現に向けての挑戦：農業を取り巻く環境は

農業にテクノロジーを導入する際の重要な課題のひとつに、環境があります。農作業は過酷なビジネスです。農場に設置される機器は、極端な天候に耐えなければなりません。気温、湿度、日照時間など、さまざまな条件下で使用されるため、農業機械は慎重に設計されなければなりません。

ソリューション： RF接続という選択

繊細な電子機器を保護するために、筐体は、にわか雨から何日も水たまりに浸かるような水の浸入に対してしっかりと密閉する必要があります。  この仕様は、デバイスへの接続性を提供する必要性によって、より複雑になります。  コネクターなど、筐体の壁を通過しなければならない部品は、筐体そのものと同じレベルの保護を提供しなければなりません。つまり、設計者はアプリケーションとデバイスがフィールドでどのように展開されるかを十分に認識する必要があるのです。 

IP（防水・防塵保護等級）を適用することで、デバイスが耐えなければならない条件を簡単に定義することができます。しかし、各評価の違いを理解することが重要です。例えば、保護された場所に設置された機器であっても、灌漑による高圧の水しぶきにさらされる可能性があります。エンジニアは、設計のために選択したすべてのコンポーネントの性能を把握しておく必要があります。

また、極端な温度変化も機器の保護に影響します。屋外に設置されるように設計された機器は、カナダ北部の真冬の寒さにさらされることもあれば、赤道直下のアフリカの気温にさらされることも想定しておく必要があります。このように温度差があるため、設計者はそれぞれの極限状態で性能を発揮できるよう、慎重に素材を選択しなければなりません。ゴムやプラスチックの中には、低温でもろくなるものもあれば、高温でやわらかくなるものもあります。さらに、太陽光の影響も材料選びを難しくしています。ポリマーの中には、太陽光に含まれる紫外線に長時間さらされると不安定になるものがあります。

統合に向けての挑戦： 新旧の融合

スマート農業の最新技術を活用したいと考える農家は多いですが、新技術を従来の農業用アプリケーションに統合する際には、課題があります。最新世代の農業用車両は、昔の機械とは似ても似つかない仕様になっています。ファミリーカーが複雑化したように、トラクターやその他の農業用プラットフォームも複雑化しています。現代の農家はすでに、精密なGPSナビゲーションから、作業のリアルタイム監視を可能にする最新の組み込みビジョンシステムまで、豊富なシステムを手にしているのです。

スマート農業の台頭は、さらに多くのデータへのアクセスを可能にし、最新のトラクターは5G通信技術でクラウドと接続するように設計されるでしょう。設計者は、複雑なコンピューティング機器を自動車用アプリケーションに組み込むためのソリューションを見つける必要があります。低電圧・大電流の機器と繊細な高速電子デバイスの組み合わせは、正しい接続性の選択が不可欠であることを意味します。

真新しい自動車を設計する人達は、テクノロジーを専用の設備に統合することができるようになります。  しかし、農業機械の価格は非常に高いため、多くの農家は新しい車両に投資する余裕がないでしょう。そのため、既存の農業機械をスマート農業のネットワークに組み込む必要があり、新しいテクノロジーと古いプラットフォームとの接続が課題となります。制御装置、センサー、ビジョンシステムなどを、数十年前の機器に追加する必要があるのです。

ソリューション：RFの専門知識

スマート農業の革命は、農家に大きな飛躍をもたらし、収穫量の向上と地球の限られた資源の効率的な利用を可能にしています。この革命により、非常に高度なデバイスが非常に過酷な環境に配置され、非常に多様なプラットフォームに統合されるようになりました。

設計者は、過酷な条件下での接続のための堅牢で高性能なソリューションの作成で実績のあるモレックスのような企業に目を向けています。モレックスは、グローバルな事業展開と幅広い分野での専門知識により、自動車業界の信頼性と最新のワイヤレス通信システムの高性能を組み合わせたコネクターシステムを提供できます。標準部品であれカスタマイズ設計であれ、モレックスはテクノロジー、サプライチェーン、および顧客志向を備えており、このエキサイティングな業界に理想的なソリューションを提供します。